加熱式に替えたから、家族にはもう迷惑をかけていないはず。
でも、本当にそう言い切れるのか、少し気になっている。
厚生労働省の専門委員会の資料などをもとに、加熱式たばこと家族について、わかっていることと、まだわからないことを整理します。
「ただの水蒸気」ではありません
加熱式たばこから出るのは、正確には「エアロゾル」(空気中にただよう、ごく細かい粒やしずく)と呼ばれるものです。厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、このエアロゾルにも有害な化学物質が含まれていると説明されています。
健康増進法でも、たばこを燃やす場合だけでなく、加熱して煙(蒸気を含む)を出すことも「喫煙」に含めています。
加熱式でも、同じ部屋の有害な物質は増えます
2026年5月の資料では、「関係の強さ」と「根拠の確からしさ」を、それぞれ4段階で判定しています。
屋内で加熱式たばこを使うと、同じ空間で、受動喫煙の原因になる有害な化学物質が増えます。この関係の強さは「強い」、確からしさも「高い」と判定されました。
実験では、同じ条件で比べると紙巻きたばこより少ないものの、吸っていないときの空気よりは増えます。使う人との距離が近いほど、多くさらされることも示されています。
加熱式たばこから出た有害な物質が周りの人の体に取り込まれることについても、尿などを調べた研究から、関係の強さは「やや強い」、確からしさは「やや高い」とされました。
加熱式たばこだけを吸う家族と暮らす子どもは、たばこを吸わない家族の子どもより、尿の中の「ニコチンが体内で変化してできる物質」の濃度が高かったという報告もあります。
「わからない」は「安全」ではありません
では、家族の健康にどんな影響があるのか。ここは、まだわかっていないことが多い部分です。
ぜんそくの発作や長引くせき、胸の痛みといった症状については、関係の強さは「やや弱い」、確からしさも高くないものの、影響が示唆されている段階です。
がん、妊娠、子どもの健康への影響などは「判定できない」とされました。直接調べた研究がまだないか、1本しかないためです。影響がないと確かめられたわけではありません。
7月の専門委員会のとりまとめでも、加熱式たばこの受動喫煙が体に与える影響は、科学的な知見がまだ十分とはいえないとされています。

家の中でも、法律は「配慮」を求めています
健康増進法は、多くの人が利用する施設などでの喫煙を制限していますが、住まいなど人が暮らす場所は、その対象から外れています。
ただし、家庭などで吸うときも、望まない受動喫煙を生じさせないよう、周りの状況に配慮しなければならないとされています。加熱式たばこを使うことも「喫煙」に含まれるので、この配慮が当てはまります。
きょうやってみてほしいこと
加熱式たばこを使う人は、紙巻きたばこを使う人より、室内で吸う割合が高かったという報告もあります。
きょうできることを1つだけ。家と車の中で、家族と同じ空間で吸っている場面を、メモに書き出してみてください。
車の中は、家族との距離がとても近い空間です。書き出すのは、自分を責めるためではありません。どこで吸うかを、自分で選び直すためです。

やめたいと思ったら
自力でやめるのがつらそうだと感じる方は、条件を満たせば健康保険で禁煙治療を受けられる場合があります。2020年度からは、加熱式たばこを使っている方も対象になっています。まずは禁煙外来のある医療機関にご相談ください。
いま飲んでいるお薬との関係など、気になることがあれば、処方箋がなくても、かかりつけの薬局で相談できます。
参考にした主な情報
- 厚生労働省「加熱式たばこに関するこれまでの知見の整理」(第5回受動喫煙対策専門委員会 資料3、2026年5月21日)(PDF)
- 厚生労働省「受動喫煙対策の見直しに関する議論のとりまとめ」(2026年7月)(PDF)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)「たばこの煙と受動喫煙」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「禁煙治療ってどんなもの?」
- 健康増進法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号)概要」(PDF)
情報確認:2026年9月25日